韓国学中央研究院・国際交流処の韓国理解プロジェクト事業室では、2025年4月22日(火)から28日(月)までの間、「米国教科書専門家招待韓国文化研修」を開催した。今回の研修は、米国の教科書専門家を対象に、韓国への理解を深めるとともに、米国各州の教科書制度や初・中等教育における出版の動向、教授・学習資料などに関する情報を共有し、今後、米国の教科書や教育資料において韓国に関する内容を充実するための方法を話し合うために企画された。
キム・ナンニョン韓国学中央研究院院長は、米国の専門家らとの面談を通じて、米国の教育現場で扱われている韓国に関する内容や、韓国の経済成長、社会発展の背景について深い意見交換を行った。また、米国各州の教育制度や教科書制度の多様性について話し合い、両国の歴史・社会・文化的文脈に基づいて相互理解を深め、教育協力を強化する方法を模索した。
韓国学中央研究院・国際交流処のアン・イェリ処長による歓迎の挨拶と、韓国理解プロジェクト事業室のイ・デファ室長による研究院と事業についての紹介を皮切りに、2日間の教科書セミナーと講演がスタートとなった。セミナーの最初のセッションで、カン・ソンジュ教授(京仁教育大学)は、「2022改訂教育課程」における歴史科の主な特徴を紹介した後、米国の歴史教育の主要テーマと連携できる韓国史のテーマを提案した。米国側の発表者として、Craig Benjamin名誉教授(Grand Valley State University)が“世界史における古代韓国”を、Heather Salter教授が“米国の世界史教科書における近現代韓国”を中心に発表を行った。両氏とも、出版社・McGraw-Hill社の世界史教科書『Traditions and Encounters: A Global History』の執筆に参加したことがあり、今回のセミナーを通じて、次期改訂版における韓国に関する内容の充実の可能性について議論が行われた。
Noel Haynesディレクター(出版社・Houghton Mifflin Harcourt)は、コロナ禍以降に変化した米国の初・中等出版市場の流れやデジタル学習の普及について説明し、韓国コンテンツの改善の方向性について意見を示した。キム・ダヒ専門委員(韓国理解プロジェクト事業室)は、「米国の教科書における韓国:動向と教育的活用」をテーマに、米国の社会科教科書によく登場する韓国に関する内容の特徴や誤り、改善策を紹介したのに加え、これまでの韓国理解プロジェクト活動を通じて改善された事例や、各州の教育課程を踏まえた、韓国に関する多様なテーマを提示した。
このほかにも、クォン・ヒョグン先任研究員(ソウル大学・奎章閣韓国学研究院)は、「帝国主義と冷戦期の韓国近現代史」について、シム・ヨンシン教授(崇実大学)は、仏塔と仏像を中心に「韓国の仏教美術」について講演し、参加者らに対して、韓国の歴史と文化への理解を深める機会を提供した。
参加者らは、景福宮や昌徳宮などのソウルの主要スポットや、慶州の文化遺跡を訪れ、韓国の歴史的価値と伝統文化を身をもって体験することができた。
今回の研修は、米国の教育制度や教科書の改訂時期、出版市場の動向、デジタル学習の現状などについて幅広く理解を深めることはもちろん、米国の教科書における韓国に関する内容の充実と改善を図るための協力策について深く議論する機会となった。参加者らは、今回の研修で得た韓国に関する知識を、米国の教育現場で積極的に活かすとともに、今後の教科書改訂の際にこれをもっと盛り込んでいきたいと述べた。なお、参加者らとは、今回の研修を通じて築かれた人的ネットワークをもとに、持続可能な教育協力を継続していく予定だ。
|